「俺の趣味・女装サロンへ遊びに行くこと ~第3話~」
部屋に到着した。「ねえ、気付いてないの?」
部屋に到着した瞬間に美女が初めて口を開いた。清楚で美人な顔とは裏腹に、声は男性的だった。
「気付いてないって何が?君、意外と声が低いというか男性的というか・・・」
「まだ気付いてないのね。あたい男よ!」
「は?またまたご冗談を!こんなに綺麗な男性がいたらビックリだよ」
「ほら、免許証。私の免許証よ。ウィッグをとれば分かるかしら?」
免許証、ウィッグを取った美女を見て俺は叫んだ。「おっさんやんけー!!!」
多分、こんなでかい声を出してラブホの部屋でおっさんやんけと叫んだのは人類史上自分だけではなかろうか。
美女の正体はおっさんだった。しかも本名は和男。名前の中に『男』が入っている美女を見たのは人生初だ。まあ、おっさんだけど。
「しかし、おっさん。あんたメイク上手いな。全くしゃべらんし謎だらけの美女だとは思ってたんだ」
「おっさんおっさんってうるさいなー。そのおっさんと一夜を共にすごそうと目論んだ変態はあんたよ!メイクはね、サロンでやってもらったのよ!お洋服は自前だけどね。ブラとパンティも自前よん!」
「ゲッ、おっさんブラとパンティも付けてんのかよ!」
「おっさんって言うなし!カズちゃんってお呼び!」
これがカズちゃんとの出会いだった。無論、ラブホで俺とカズちゃんは何もしていない。