「え…」
僕は全身を観た後、胸元のネーム、Izumi Asai の文字を初めて付けたブラの上からそっとなぞる。
(僕、泉ちゃん…?)
「はいこれ!」
姉貴がそう言って自分の持ってた黒髪のウイッグを僕に被せる。
「ちょっとじっとしてて」
ウイッグをピンで留められブラシで整えられ、髪の毛が少し上に引っ張られる感覚と共にバラ色のシュシュでたちまちポニーテールに纏め上げられると、鏡には、「ほら、ポニーテールにした泉ちゃん」そう言う姉貴に、
「うーん、なんとかなるかなあ」
「あとはメイクで頑張るか。着替えは車の中でさせればいいし」
とか言ってる。ウイッグのせいですっかり女の子っぽくなった僕は自分の変わり果てた姿が面白くてしばし見とれていた。