次の出会いは、涼が偶然入った小さなアートギャラリーで起きた。

そこで出会ったのは、独特な雰囲気を纏ったアーティストのリサ。彼女は、涼が女性になったことで感じている戸惑いを不思議なほど見抜いたように話しかけてくる。

「君、何か隠してるよね?」

涼は心臓が跳ねるのを感じた。

リサの言葉に涼は思わず警戒心を抱いたが、その独特な雰囲気にどこか惹きつけられた。

「隠してる…って?」涼が思わず問い返すと、リサは薄く笑った。

「だって、あなたの目、普通の人の目じゃないもの。“今、自分がここにいない”みたいな感覚を持ってるでしょ?」

核心を突かれたようなその言葉に、涼は一瞬息を飲んだ。鏡の力で突然女性になってしまった自分。この奇妙な感覚を誰にも話せずにいた彼にとって、リサの洞察力は鋭すぎた。

「まあ、細かいことはどうでもいいけど。これを見て。」

リサは涼をギャラリーの奥に案内し、一枚の大きな絵を見せた。

それは、涼が鏡に触れる瞬間を連想させるような、不思議な女性の姿を描いた作品だった。

「この絵…」涼は言葉を失った。

「私、夢の中でこの女性を見たのよ。」リサが続けた。「その人があなたに似てる気がしたの。」

リサとの出会いをきっかけに、涼は「鏡の力」や自分の変化について真剣に向き合うようになる。そしてリサは、涼が元の姿に戻るための重要なヒントを持つ人物であることが徐々に明らかになっていく。