清水拓也は、社会の誰もが認める真面目で堅実な男だった。大学卒業後、大手企業に就職し、順風満帆なキャリアを築いていた。そんな彼の唯一の秘密が、週末に訪れる秘密の場所だった。それは、都心のビルの一室にある高級SMクラブ。「女王様」と呼ばれる存在に心奪われていたのだ。

その女王様、麗奈は、冷徹さと美しさを兼ね備えた女性だった。拓也は彼女の強烈なカリスマ性に惹かれ、毎週のように通っては命令を受ける日々を送っていた。しかし、ある日、麗奈は彼に普段の命令とは全く違う指示を出した。

「拓也、今日は特別な命令よ。あなたには女装をしてもらうわ。」

「えっ、女装ですか?」

拓也は驚いた。しかし、命令を拒否することは許されない。それが彼女との「契約」だった。半ば強制的にドレッシングルームへと連れて行かれると、そこには麗奈が用意した華やかなドレス、ウィッグ、そしてメイク道具が並んでいた。

「私の言う通りにしていればいいの。さあ、始めるわよ。」

麗奈は手際よく彼のメイクを施し、ドレスを着せていく。鏡の前に立たされると、そこには女性そのものの姿が映っていた。

「これが私…?」

拓也は自分の変貌ぶりに目を見張った。普段の自分ではあり得ないほどの美しさがそこにあった。そして、意外にも、心の奥底から不思議な感覚が湧き上がってきた。

「悪くない…いや、むしろ…。」

それ以来、彼は「命令」をきっかけに女装の世界に足を踏み入れていくことになる。クラブで麗奈に会うたび、彼は新しい衣装に挑戦し、自分を表現する楽しさを知っていった。次第にそれは「命令」ではなく、彼自身の選択となった。