沙織の提案で、僕は「女装しているときの自分」に名前をつけることにした。

「新しい名前を持つって、自分をもっと愛せるようになるかもしれないわよ。」

最初は照れ臭かったが、僕は思いついた名前を彼女に伝えた。

「じゃあ……『優花』はどうかな?」

「素敵な名前ね。優斗くんの優しさがそのまま表れてるわ。」

その名前を持つことで、僕の中のもう一人の自分がよりはっきりと形を成していく気がした。沙織はその名前を使って、女装をしているときの僕を「優花ちゃん」と呼び始めた。