「俺の趣味・女装サロンへ遊びに行くこと ~第6話~」

「か、柏木和男?もしかして売上1000億円を達成したあのIT企業の社長さん?顔出しはしてないが、経済界で今一番注目されている人じゃないか!何が『自営で細々と』だよ!めっちゃ稼いでるじゃん!」

カズちゃん、なんか凄い人だった。

「しー!声が大きい!あたしゃ本当に大したことないのよ。世間が勝手に騒いでいるだけ!それよりもたくちゃんは女装に興味はないのかしら?」

年商1000億円の社長であることを掘り下げたかったが、カズちゃんの顔が一気に曇ったので、空気を読んであまり掘り下げないことにした。

自他共に認める変態ではあるが女装をしようと思ったことはないな

「あなた、人生損してるわよ。女装やるべきよ!人生変わるわよ!

いやいや、いきなり何を言い出すのよカズちゃんよ。今の俺にはカズちゃんが宗教の勧誘をするおばちゃんにしか見えなかった。

「カズちゃん、悪いけど、俺には女装をやる理由なんて見つからないよ」

「馬鹿ねえ。理由なんかどうでもいいのよ。かくいう私も最初はパンティを穿いてみたいなってのがとっかかりだったからさ。こんな老け顔のハゲ男でも変身できるんだから。メイクって凄いわよ」

「俺は無理だよ。メイクなんかじゃ人は変われねえ。大事なのは心じゃないかな?」

「綺麗事言わないで!!私をナンパしてホテルであんなことこんなことしようと目論んでたくせに!!」

なんてカズちゃんがいきなり大声で叫ぶから他の人々に変な目で見られてしまったよ。
こういうときの他人の視線って針で刺されたみたいにチクチクして痛い。