「俺の趣味・女装サロンへ遊びに行くこと ~第43話~」

「ほら、かわいらしいでしょう。それこそが『ベストショット』よ。20年間お互いに心のどこかで思い続けた証ではないかしら」

天使も俺の事をスマホで撮影した。天使のスマホには代わり映えのしない不細工な俺が写っていた。でも、警戒心が全くない自然な表情だった。

「でも、たくちゃんは本当に天使さんが好きなのね。いつもは優柔不断というか、はっきりしないくせに、天使さんと結婚してるって嘘をついたら『お前』呼ばわりよ!仮にも上司にお前呼ばわりするなんて・・・間違いなく出世するわよー。次期社長はたくちゃんかしらね?」

「すまん。あの時は気が動転してたというか、何というか・・・ごめんなさい」

「いいってことよ!あの姿を見たらむしろ私も安心したわ。真剣さが伝わったからね。たくちゃんは天使さんと結ばれるべきよ。うん、夫婦認定」

そう言われると照れ臭い。でも、素直に嬉しい。天使といると何故か中学生の時に戻ったような気分になれる。すっかりおっさんになってしまったけれど、心だけはまだまだ若いつもりだ。