「女装への助走~オンナノコの秘密☆~」 第5話 ラビリンスとの出会い~幸せな迷宮との遭遇

人目に付かずにアクセサリーを買う方法がある。
インターネットで買う方法だ。
だが、宅配便で妻が受け取ってしまった場合を想像した。
あー…とんでもないことになってしまう。
最悪の場合、離婚にもなり得るだろう…絶対に避けたい。

サイトを検索していると、あるものがふと目に留まった。

初心者のための女装サロン『ラビリンス』!?

鼓動が速くなり興奮状態に陥った俺は、まさぐるようにそのサイトを見た。
若者から、俺のような年代の男性までもが可愛らしく女装し、笑みを浮かべてこちらを見ている。
その顔は自信に満ちており、本物の女性よりもずっと輝いているように思えた。

その瞬間、もう俺の心は決まっていたのだ。
『よし!これだ!』

会社帰りに『ラビリンス』に行った俺は、店員のプロフェッショナルな対応に驚いた。
恐る恐る「一度…イヤリングを付けてみたい」と告げると、とても丁寧な口調でアドバイスをくれたのだ。

「一重の方は目元がクールで印象的な美しさですから、シンプルなものをチョイスするとより魅力が増しますよ」

俺の顔の特徴を一瞬で把握し、美しさを引き出すことを第一に考えてくれている。
自分も知らなかった「別の顔の魅力」を、この店ならもっと磨いてくれるかもしれない。
そうして俺は『ラビリンス』にどんどんはまっていくことになる。