12,慶次と兼続の事情シリーズ①『親友の秘密』
「んで、今日は何しにきたんですか?リマさん」
よく見れば、二人が手にしているのは、ノンアルコールビールだ。なぜなら、一滴も飲めない下戸コンビだから。でも、大人の休日はビールで過ごすという変な意識があるようで、慶次の家には、ノンアルコールビールが箱でいくつも積まれている。
ほぼ同時にプルタブを開け、軽く乾杯の仕草をして、やはりほぼ同時に口を付ける。
「実はさ。今日、慶次にもラビリンスを体験してもらいたくって♪」
その言葉に、慶次は口に含んだノンアルを思いっきり噴き出してしまった。
そのほとんどが、リマの顔に掛かってしまうオマケ付きで。
「ちょっ!汚ねーっ!ったく、あーあ」
リマは慶次を一瞥すると、急いで洗面台に行って新しいタオルで顔を押せるように、液体を拭き取った。メイクをしているので、擦るように拭くことは絶対にしない。
幸い、服には被害は無いようで、ほっと息を吐き出した。