13,慶次と兼続の事情シリーズ①『親友の秘密』
部屋に戻ってきたリマは、床を拭いている慶次の背中に片足を乗せた。
そして座った目で、
「慶次くん?どう落とし前を付けてくれるんでしょうか?あぁん?」
と、ドスの利いた完全な男声を出すと、踵で肝臓あたりをグリグリとする。
「ギブ!ギブ!」
リマが足を下ろすと、慶次は立ち上がる。女装を初めてから、リマは痴漢に遭うようになったとかで、自衛のために護身術を習っているのだが、基本的に被害者は慶次だ。
肝臓あたりをさすりながら、慶次は「悪かった」と言うと、パソコンデスクに置いた偽ビールに手を伸ばし、気持ちを落ち着けるためか、ゴクゴクと勢いよく喉に流し込んだ。
スカートの裾をツンツンと軽く引っ張りながら、リマは慶次に問う。
「異論は、無いな?」
少し涙目の慶次は、コクリと頷くしか無かった。