14,慶次と兼続の事情シリーズ①『親友の秘密』
善は急げとばかりに、ブランドの白いハンドバッグから最新のスマホを取り出すと、悪戯をする少女のような表情で、電話を掛ける。
そして程なくして、相手が出たようだ。
「こんにちは。リマです」
慶次はそれを、黙って見つめる。
「今日、これから空きはありますか?突然で申し訳ありませんが」
言葉遣いには、女性のような丁寧さが乗っている。
もちろん、ラビリンスに電話をしているのだ。慶次にも女装をさせてみようという、思いつきの計画を実行するために。
しばらくの間の後、リマの顔がぱっと明るくなった。
「本当ですか!ありがとうございます!」
どうやら、予約が取れてしまったようだ。