話の中心人物は、姉と姉の正面にいる詩織さんという人で回っていた。私の彼氏が意外と料理 ができてびっくりした話とか、詩織さんが最近行った猫カフェについての癒された話だとかが延々 と続いた。僕は主に目の前のクリームパスタをフォークで巻きながら、彼女たちの会話を聞いて いた。
しかし、そうしているとだんだん、意識が彼女たちから離れていく感覚に陥った。僕はなぜこ
こにいるんだろう? 僕は今、何を聞いているんだろう? 少し考える̶̶そう、女子会に参加
したかったからだ。そのために女装をしたのだ。ここで冒険しなきゃ意味がない。
彼女たちの会話を再び聞きながら、会話に加わる隙をうかがう。女子会が始まってから。1時間 くらい経ち、みんなだいぶ酔っているようだ。それともただテンションが高いそうに見えるだけ なのか。