女性の身体での初日、涼はその変化に戸惑いながらも、電車での帰路についた。普段なら全く意識しない周囲の視線が、今日は妙に熱い。そしてその日のうちに、彼の人生を大きく変える最初の出会いが訪れる。

涼が駅の階段でつまずきそうになったとき、さっと腕を掴んで助けてくれたのはスーツ姿の女性だった。

「大丈夫?足元に気をつけて。」

短いボブカットに切れ長の瞳。知的で凛々しい彼女は、葵と名乗った。

彼女は商社で働くキャリアウーマンで、表向きは完璧な女性。しかし話を進めるうちに、彼女が抱える孤独や、職場でのプレッシャーを垣間見る。涼はいつの間にか、葵の相談相手になっていく。

葵との出会いは、涼に「女性としての立場」を初めて意識させた。