しかし、そんな平穏は長く続かなかった。父が早めに帰宅し、僕が沙織とメイクを練習しているところを目撃してしまったのだ。

「優斗、これはなんだ!」

父の怒鳴り声が響く。沙織は僕を庇おうとしたが、父は聞く耳を持たなかった。

「こんな趣味、男として恥ずかしいと思わないのか!」

父の言葉に、僕の中の何かが切れた。

「恥ずかしくなんかない!僕は僕だ!」

その瞬間、沙織が間に割って入った。

「あなた、そんな言い方はやめて!」

沙織の目には涙が浮かんでいた。