それから沙織は、僕の秘密を知る唯一の人になった。彼女は驚くほど理解があり、むしろ僕の女装に興味を示してくれた。

「もっと可愛くなりたいなら、メイクの練習をしたら?」

「アクセサリーも重要よ。」

沙織は僕に、まるで娘に接するかのようにアドバイスをくれた。僕はそんな彼女との時間が少しずつ楽しくなっていった。

ある日、沙織がクローゼットの中から母の形見のスカートを見つけた。僕がそれを大切に保管していることを知り、「これ、着てみない?」と勧めてきた。

母のスカートを履いた僕を見て、沙織は目を細めた。

「本当にお母さんに似ているわ。」

その言葉に、僕は胸が締め付けられるようだった。母の記憶と女装が重なり、僕の中で複雑な感情が渦巻いた。