女装サロンは一時の平穏を取り戻し、初心者体験会や地域との交流も順調に進んでいた。しかし、その陰では新たな問題が忍び寄っていた。

「悠斗、これを見なさい。」

美絵が持ってきたのは、匿名の手紙だった。内容は女装サロンに対する誹謗中傷が書かれたもので、「地域の恥だ」「閉店するべきだ」といった言葉が並んでいた。

「…またですか。」悠斗は深くため息をついた。

「女装サロンをやるということは、こういうことなのよ。私は慣れているけど、あなたはまだ耐えられないんじゃない?」美絵の厳しい口調が突き刺さる。

「僕は逃げません。女装サロンを守るって決めたんです。」悠斗は毅然と答えたが、その言葉の裏には不安もあった。