女装サロンラビリンスの華やかな雰囲気の中、涼は深い息をついた。奏と葵、どちらも大切な存在であり、簡単に答えを出せるものではなかった。だが、二人の真剣な視線を前に、もう逃げるわけにはいかない。

「奏、葵…。君たちが僕のことをどう思ってくれているかを聞けて、本当に嬉しい。」

涼の声は静かで、それでいて力強かった。

「でも、僕はまだ自分自身の気持ちを完全に整理できていないんだ。二人が僕のためにここまで想ってくれているのに、今の僕には誰かを選ぶという答えを出す資格がないように感じる。」

その言葉に、奏と葵は驚いた表情を浮かべたが、涼の真剣な目を見て、彼が本心から語っていることを感じ取った。

「だから、少しだけ時間をくれないかな。このサロンで、君たちと過ごしながら、自分自身の気持ちをもっと深く知りたい。」