「俺の趣味・女装サロンへ遊びに行くこと ~第36話~」

「別に隠すことじゃないからしっかり答えるわね。とりあえず顔は綺麗な人よ。性格もとてもいい。私にも優しくしてくれるわ。子供との仲も良好」

じゃあ何で別居してるんだ?と言いたくなったが、言えなかった。
カズちゃんに気を遣うつもりもないけれど、カズちゃんの事をあまり深くは知りたくないと思った。
カズちゃんの事を知りすぎて、カズちゃんに嫌悪感を抱くようになってしまうのがなぜだか怖かった。

「分かった分かった。もうこれ以上は言わなくていいから」

「いや、しっかり聞いて。たくちゃんは優しいから私に遠慮してるんだわ・・・。でも、聞いて欲しいの。私の奥さんは・・・天使さんなのよ」

俺は固まった。まるで金縛りにあったかのように。言いたいことは色々あるのに何故か口が動かない。

「冗談は顔だけにしろよ」
1分くらい経過して、ようやくこれだけしゃべれた。信じられるわけがない。

カズちゃんってちょいちょい誰も楽しめない嘘をついて一人でにやにやすることとかあるし。そもそも天使は独身って言ってたし、俺に結婚を前提に付き合わないかって言ってきたはずだ。