「えっと、浅井泉さん…ね。ちょっと後ろ向いてくれる?」
審判席の一人のおばさんの言われるままに僕はおそるおそる女の子用のショートパンツをはいたお尻を審
判員の人に向けた。
その人はちょっと首かしげた後、再びマイクを取った。
「British Peachesの2番の保護者の方、審判席にお越し下さい」
もうこれ、まさか僕が男だってばれたかも!横の姉貴もしきりに僕の腰のあたりを握った拳でつつく。そ
こへ泉ちゃんのママと僕の母親が到着した。
「あの、何か?」
強張った様子で僕の母親と泉ちゃんのママが審判の人に言う。
「あ、浅井泉さんのお母様ですね」
そう言って審判員のおばさんは一呼吸置き、再び後ろ向いてる僕の方を見てお尻に軽く手を当てる。その
時間のなんと長く感じた事か。
「これ、透けてるの生理用ショーツですよね。運動大丈夫なんですか?」
僕には何かわかんなかったけど、僕以外はようやく何故僕が疑われたのか分かったみたい。
「あ、あの、まだなんですけど、そろそろなんで、あの、万一試合中に来てコートとか汚しちゃったら…」
「ああ、そういう事ですか…でもナプキン付けてらっしゃらない様な…」
「あ、あの、あれ、タンポンで…」
「ええ?小学生でですか?」