「あら、そんなあたし達に一セット取られたのがそんなに悔しいの?」

振り向いて、姉貴にガン飛ばしてた女の子にそう言いながら向かって行くと、明らかに相手は怯えた様子

で数歩後退する。

「出ましょ!」

そう言って姉貴が僕の手を無理矢理引っ張った時、

「あー、今年はあたし達が優勝か…」

一人の女の子が僕達の間を割って洗面台に来る。

「無名のチームにセット取られて、弱!」

その子は黄色とオレンジと白に何かのワッペンまで付けた結構派手で本格的なユニフォーム着ていた。見

るとそこには、キャンディアンドクッキーズと書かれたロゴ。ママ達の話だと今年の春準優勝したチーム。

彼女を見たブルーラビッツの女の子達は彼女を見つめ、トイレの奥の方に固まる様にして後ずさり。

「決勝戦で当たれる様にせいぜい努力しな。遊んでやっからよ」

そう言いつつ何食わぬ顔で鏡に向かって髪をいじる彼女。

「二セット目、ぎりぎりまで追い詰められてさ。あの日の子狙い撃ちしてようやく勝ったんだよね。無名相

手にここまでやるかって観ててすっげー面白かったぜ」