「大丈夫だった?変な事されなかった?一人でどっか行っちゃったから心配して…」

姉貴が何か言ってるみたいだけど、僕には何も聞こえなかった。

何なの、何この気持ち…。女の子の格好して、女の子しか着けない下着を彼に触られて、慰められて、優

しくて硬い腕で抱きしめられて、そして…。

「薫、ちょっと見てたんだけど、あんた…あいつにキスされてた?」

久しぶりに自分の本当の名前を口にして、驚いた顔で体を掴んだまま詰め寄る彼女。まだ呆然としながら

も僕は姉貴の顔を見て、そして微かにうなづいた。

「何よ!何やってんのよ!」

その言葉に僕はやっと正気に戻ったけど、僕の頭の中はすっかり変わってしまった。姉貴に今までした事

ない笑顔を向けて僕はすっかり女声に変わってしまった言葉で彼女に言った。

「お姉ちゃん、あたし、女の子になりたい…」