その日から、優と凛は頻繁に会うようになった。休日には一緒に買い物をしたり、ファッションについて語り合ったり、時にはお互いのコーディネートを提案し合ったりもした。

しかし、楽しい時間を重ねるうちに、優の中である感情が芽生え始めていた。それは、友達以上の何か――凛に対する特別な想いだった。

ある日、優は意を決して凛にこう切り出した。

「凛さんは……今、好きな人とかいるんですか?」

突然の質問に凛は驚いたようだったが、すぐに柔らかい笑みを浮かべた。

「どうだろう。いるような、いないような……。」

「そ、そうなんですか。」

優は曖昧な答えに少し肩を落としたが、その様子を見た凛が声を掛けた。

「小野寺さんは? 誰か好きな人、いるんですか?」

「えっ、僕は……」

思わず言葉に詰まる。まさか、目の前の彼女だとは言えない。

その沈黙を、凛は少し意味ありげな表情で見つめていた。

優が返事に詰まったまま俯くと、凛は笑いながらカップに口をつけた。

「小野寺さんって、本当に純粋だよね。」

「そ、そうですか?」

「うん。そういうところ、ちょっと可愛いと思うよ。」

「えっ!」

突然の「可愛い」という言葉に、優の心臓が跳ねた。凛の表情はからかうでもなく、ただ優しい笑みを浮かべている。その自然な態度に、優はますます自分の気持ちを隠せなくなっていくのを感じた。