初心者体験会の準備が進む中、悠斗と美絵の間には再び衝突があった。

「この衣装は初めての人には派手すぎるんじゃないですか?」と悠斗が提案すると、美絵は冷たく言い返した。

「女装サロンでは、初めてだろうと妥協は許されないの。ここで本当の自分を見つけるのに、甘えは必要ないわ。」

悠斗はその言葉に反論しようとしたが、美絵の真剣な表情を見て思い直した。彼女がこの女装サロンを守るためにどれだけの努力をしてきたのかを知っているからだ。

それでも悠斗は、自分の信じる方向性を諦めることはなかった。「僕は、この女装サロンをもっと開かれた場所にしたいんです。美絵さんの経験と僕の考えを合わせれば、もっと素敵なサロンになると思います。」

その言葉に、美絵は一瞬驚いたような表情を見せたが、何も言わずに部屋を出て行った。