「まずはこのドレスを着てみましょう。」

真紅のドレスと白いストッキング、そして10センチ以上のヒールが渡された。正直、逃げ出したい気持ちでいっぱいだったが、エリザベートの威圧感を思い出し、逆らうことはできなかった。

着替え終わって鏡を見た瞬間、自分が知らない自分に出会った気がした。見慣れたはずの顔が、化粧によって別人に変わり、赤いドレスの効果で華やかな雰囲気が漂っている。

「美しいですよ。次はもっと歩きやすくなるようにポージングを学びましょう。」

講師と名乗る麗人に手を引かれ、俺は女装での立ち居振る舞いを学び始めた。

「女性らしい歩き方は、ヒールを床に落とす角度が鍵です。」

何度も繰り返し練習させられたが、最初はまともに歩くことすらできなかった。だが、数時間後には少しずつ自信がついてきた。

その日、帰り際に手渡されたのは、次回のレッスンスケジュールだった。

「女装サロンラビリンスはあなたの内面を変える場所です。エリザベート様も期待していますよ。」