翔太、あんたみたいな鈍臭い男には、女装サロンラビリンスが必要だわ。」

義理の姉・美咲の厳しい声がリビングに響いた。その日、俺は仕事で失敗をし、さらに家事の手伝いすらまともにできなかったことで、彼女の怒りを買っていた。

「え、なんだって?」

俺は思わず聞き返した。

「だから、女装サロンラビリンスよ。あんたには美的センスもなければ、繊細さもない。女装でもして、少しは人としての幅を広げなさい。」

美咲は俺の姉ではなく、兄の嫁だ。兄が出張で家を空ける間、俺が美咲と同居することになってからというもの、彼女の厳しさに俺は振り回されていた。だが、いくらなんでも女装サロンなんて冗談だろう。

「いやいや、冗談だろ?俺が女装なんて…」

「冗談じゃないわよ。ほら、これ。」

彼女は一枚のチラシを俺に差し出した。そこには**『女装サロンラビリンス──新しい自分を発見する場所』**という文字とともに、美しいドレスを着たモデルの写真が載っていた。

「な、なんでこんなものを…」

「私が予約しておいたの。あんたが女装に磨きをかけて、少しはまともになるためにね。」

俺は抗議しようとしたが、美咲の目が鋭く光った。

「いい?これは義務よ。逃げたらただじゃおかないからね。」

そう言われてしまうと逆らうことができなかった。