ファッションショーの会場は、女装サロンラビリンスの特設ホールだった。華やかな装飾が施されたステージに、観客の期待の視線が集まっていた。

俺の出番が近づくにつれて緊張が高まってきた。

「翔太、準備はいい?」

袖口で待つ俺に、美咲が声をかけてきた。彼女はいつになく優しい表情をしていた。

「怖いよ、姉さん。失敗したらどうしよう。」

「失敗なんて気にしなくていいわ。あんたはもう十分努力したんだから。胸を張って歩きなさい。」

美咲の言葉に背中を押され、俺はステージへと足を踏み出した。

スポットライトが眩しく、観客の視線が一斉に俺に向けられる。だが、女装サロンラビリンスで学んだことを思い出し、一歩ずつ自信を持って歩き始めた。

ドレスの裾を揺らしながら歩くたびに、歓声が上がる。心臓が高鳴り、足元のヒールの感触が心地よく感じられた。

「翔太さん、素敵よ!」

観客席から美咲の声が聞こえた。その声に励まされ、俺は笑顔でフィナーレを迎えた。