新たにオープンした女装サロンラビリンスの第二拠点。そこは以前のサロンの雰囲気を保ちつつも、広々とした空間と最新の設備が整えられ、さらに多くの人を迎え入れる準備が整っていた。オープニングイベントには多くの人が訪れ、女装サロンラビリンスの人気の高さを改めて実感する日となった。
「ここが新しい女装サロンラビリンスなんですね!すごく素敵な場所!」
初めて訪れる人々の歓声が、サロン内に響き渡る。僕たち常連メンバーは受付や案内、体験コーナーの指導に追われていたが、その充実感は格別だった。
「優斗ちゃん、ここもすぐに人気スポットになるわよ!」
ユリカさんがにやりと笑いながら肩を叩いてきた。
「そうですね。でも、みんなが頑張った結果ですね。」
僕がそう答えると、涼子さんも頷きながら言った。
「確かに。でも、これからが本番だね。新しいお客さんがどれだけリピーターになってくれるかが鍵だよ。」
新たなメンバー、登場
新しい女装サロンラビリンスには、新たなメンバーも続々と加わってきた。その中で一際目立ったのが「遥香さん」だった。
彼女――いや、彼は、20代半ばのアパレル店員で、女装にはずっと興味があったものの、踏み出す勇気がなくて悩んでいたという。
「初めて女装サロンラビリンスに来たときは、本当に緊張しました。でも、ここに来てみんなと話して、やっと自分を表現する方法が分かった気がします。」
遥香さんの言葉には、初心者ならではの戸惑いと喜びが混じっていた。葵さんは彼女を温かく迎え入れ、僕たち常連メンバーも一緒にサポートすることになった。
「優斗さん、遥香ちゃんのメイク、手伝ってくれますか?」
葵さんにそう頼まれた僕は、初めて人にメイクを施すという経験に少し緊張しながらも、丁寧に取り組んだ。
「優斗さん、すごいですね!私、こんなに変わるなんて思ってなかったです!」
遥香さんの感動した笑顔を見て、僕の胸はじんわりと温かくなった。
葵さんとの夜の会話
新しいサロンの運営が軌道に乗り始めた頃、葵さんと二人で話す機会が増えた。ある夜、仕事が終わった後のカフェスペースで、葵さんがぽつりと呟いた。
「優斗さん、本当にいつも助けてくれてありがとう。あなたがいなかったら、ここまで来られなかったかもしれません。」
その言葉に僕は驚き、思わず問いかけた。
「葵さん、そんなことないですよ。葵さんが女装サロンラビリンスを続けてきたからこそ、こんな素敵な場所があるんです。」
葵さんは少し照れたように微笑んで言った。
「でも、私一人ではきっと無理でした。みんなの力があってこその女装サロンラビリンスなんです。」
その言葉に、僕は葵さんが抱えてきた苦労と責任の重さを改めて感じた。そして、そんな彼女をもっと支えたいという気持ちが強くなった。
サロン対抗バトル!?
新しい女装サロンラビリンスが話題になる中、近隣で営業している別の女装サロンから突然、挑戦状が届いた。内容は、「サロン対抗ファッションショーで勝負しよう」というものだった。
「えぇ?そんなの急すぎるわよ!」
ユリカさんは驚きの声を上げたが、葵さんは冷静に答えた。
「私たちが成長している証ですね。受けて立ちましょう。」
サロンのメンバーたちは一致団結し、ファッションショーに向けて準備を始めた。テーマは「自分らしさを表現する女装」。僕も、遥香さんや涼子さん、ユリカさんと一緒に衣装選びやポージングの練習に励んだ。
「優斗ちゃん、ステージ上で恥ずかしがったらダメよ!堂々とアピールしなきゃ!」
「分かってますけど、やっぱり緊張しますよ……。」
練習を重ねるうちに、僕たちのチームワークはどんどん良くなっていった。そして、いよいよサロン対抗ファッションショーの当日がやってきた。
白熱のファッションショー
会場は多くの観客で埋め尽くされていた。他のサロンも個性的なパフォーマンスを披露し、熱気に包まれていた。
女装サロンラビリンスのメンバーは、最後の出演順だった。僕たちはそれぞれの「自分らしさ」を表現する衣装を身にまとい、ステージに立った。
僕は自分が選んだ華やかなドレスとロングウィッグで、観客に向けて微笑んだ。緊張はあったが、これまでの練習と、サロンの仲間たちの支えが自信をくれた。
「自分らしく、楽しんで。」
そう言ってくれた葵さんの言葉が、ステージ上での僕を後押ししてくれた。
結果発表のとき、女装サロンラビリンスは見事優勝を果たした。会場中から大きな拍手と歓声が上がり、僕たちは喜びを分かち合った。
葵さんへの感謝と未来
ファッションショーが終わった夜、僕は改めて葵さんに感謝の気持ちを伝えた。
「葵さん、本当にありがとうございます。このサロンがなかったら、僕はきっとこんな自分にはなれなかった。」
葵さんは微笑みながら答えた。
「優斗さんがここで頑張ってくれたからこそ、ラビリンスがこんなに素敵な場所になったんです。」
そして、彼女は少し照れたように言った。
「これからも一緒に、女装サロンラビリンスを盛り上げていきましょうね。」
その言葉に、僕の胸は熱くなった。これからもこのサロンで、自分を表現し、葵さんを支えながら成長していこうと、改めて決意した。