「ちゃんと出来た?」
「うん」
姉貴の言葉にうなづくと、鏡の前で僕のポニーテールを直してくれる。他にも自分で結んだ髪をいじって
いる子もいたりして、もうすっかり女の子になった気分で鏡の中の自分に微笑んでいた。
と、そこに見覚えのあるユニフォームの女の子達が数人トイレに入ってくるのが鏡越しに見えた。そう、
さっき一回戦で対戦した、あのブルーラビッツの子達。開会式で姉貴にガン飛ばしていた子もいる。
「あー!いた!」
その子達が他の女の子僕を押しのけて僕の周りに集まってきたのが鏡越しに見えた。
「あんたのせいでさー、あたし達監督に怒られたんだけどさー」
「マジむかつく」
「あの日の癖に出てくんじゃねーよ!」
「もしかしてさー、あの日のふりしてた?」
「もしそうだったらマジ汚いよね!」
「まんじ腹立つ!」
「秒殺してやったからさ」
トイレの中の他の女の子達がだんだん遠巻きにしていく中
「くっさー!」
といって一人が鼻摘んで言うと、みんなが真似する始末。
姉貴が僕の手を引いて外に連れ出そうとするけど、僕はもう我慢出来なかった。