その夜、悠斗はサロンの奥にある倉庫を整理していると、古いアルバムを見つけた。アルバムには、美絵が若い頃に撮影した写真がぎっしり詰まっていた。中には、美絵が自身も女装していた頃の姿があった。
「これが…美絵さんの過去?」
その写真の中で、美絵は笑顔を浮かべながら、女装サロンのような場所で仲間たちと楽しそうにしていた。しかし、その後のページには写真がほとんどなくなり、最後のページには「裏切り」「孤独」という文字だけが書かれていた。
翌朝、悠斗は意を決して美絵に問いただした。
「美絵さんも、昔は女装サロンで楽しんでいたんですね。」
美絵は一瞬動揺したが、すぐに険しい顔になった。
「…それがどうしたの?」
「でも、どうして今はこんなに厳しいんですか?昔の美絵さんは、もっと自由で、楽しんでいたように見えます。」
美絵はしばらく黙っていたが、やがて静かに話し始めた。
「私はね、この女装サロンを信じていた。でも、信じていた仲間たちに裏切られたのよ。表向きは優しさを装って、裏では私を利用していただけだった。」
その言葉に悠斗は息を呑んだ。「それで、誰にも頼らずにこの女装サロンを守ろうとしていたんですね。」
「そうよ。だからあなたにも厳しくした。でも…少し間違っていたのかもしれないわね。」