週に一度、女装サロンラビリンスに通う日々が始まった。ドレスの選び方、化粧のテクニック、立ち居振る舞い。それだけでなく、自分自身の内面に向き合う時間でもあった。
「なぜ、あなたは女装に抵抗を感じるの?」
ある日、講師にそう尋ねられたとき、言葉に詰まった。
「多分……自分が男としてどう見られるか気にしているんだと思います。」
講師は静かに頷き、こう答えた。
「男も女も、そんなものはただのラベルよ。ここではそのラベルを外して、自分自身と向き合うの。」
その言葉が胸に刺さった。ラビリンスに通い続けるうちに、俺はエリザベートの意図を少しずつ理解してきた。