こうして俺は、女装サロンラビリンスに足を踏み入れることになった。

入口の扉を開けると、華やかで異世界のような空間が広がっていた。シャンデリアが輝き、壁には豪華なドレスがずらりと並んでいる。そこにいるのは、どこか中性的で美しいスタッフたち。

「いらっしゃいませ、ようこそ女装サロンラビリンスへ。」

受付にいたスタッフが優雅な声で挨拶してきた。

「こ、こんにちは…。」

ぎこちない挨拶しかできない俺に、スタッフは微笑んでみせた。

「緊張なさらないでください。ここはすべてを受け入れる場所です。あなたが新しい自分を発見するためのお手伝いをさせていただきます。」

そして、スタッフは俺を鏡張りの部屋に案内した。

「こちらで最初のドレスを選んでください。」

差し出されたのは、シンプルだけれどエレガントな黒のドレスだった。

「えっ…これを着るのか?」

「ええ。ここでは、すべての方が主役になれるんです。」

渋々ながらドレスに袖を通し、ウィッグを被り、化粧を施されると、鏡の中の自分がまったく別人になっていることに驚いた。

「これが…俺?」

頬を紅潮させながら、俺は自分の姿をまじまじと見つめた。