「俺の趣味・女装サロンへ遊びに行くこと ~第38話~」

「やっぱり俺は天使とは結婚できない。てか付き合えない」
懸命に考えてそんなメールを天使に送った。涙が止まらない。俺はこんな感じで一生独身なのだろうかと考えてしまって。
35にもなって数少ない友人にも裏切られるなんて。

20年ぶりに会う元カノと久しぶりに再開をして結婚なんてやはり夢物語なのだろうか。小説やテレビドラマの設定で見たことがあるような気がするし。

…着信があまりないことで有名な俺のスマホに着信が。天使だ。天使美喜だ。ど、どうしよう。出るべきか?どんな態度でどんな会話をすればいいのだろうか。

「もしもし・・・?北村くん?」
気づいたら俺は通話ボタンを押していた。

「あのさ、カズちゃんと結婚してるってマジなの?しかも子供までいるっていうのはマジなの?俺を騙そうとしてたのか?」

「騙すつもりはなかったの。ごめん。でも結果的に騙しているんだよね。傷付けちゃったよね?」

その声から優しさを感じた。考えてみれば天使が中学時代に人気だったのは容姿だけが理由ではなかった。性格も抜群によかった。先生からの信頼も厚くて。
まるで漫画のキャラクターのマドンナみたいな。