「俺の趣味・女装サロンへ遊びに行くこと ~第40話~」

「私は真剣だったのに、北村くんは適当にあしらう感じだったから心配だったの。『あー、はいはい付き合ってやるよ』みたいな」

それは誤解だ。と、口に出して言えなかった。あのときも電話だったし、お互いの表情はよくわからなかった。

今から振り返ると「考えさせてくれ」と答えを先伸ばしにするのが正解だったのかもしれない。もちろん少しばかり考えて「付き合いたい」って返事はしたのだけど。

「俺は真剣だ。でも、その真剣さをまだしっかり示す力が今の俺にはないようだ。ひとまずお友だちとしてやっていくのはどうだろうか?」

「そうね。私の方こそ勢いであんなことを言ってしまったのかもしれないし。お友だちから始めましょう?」

これが今の二人が出せる一番ベストな答えではないだろうか。

「うん。なあ、会うときは二人で会わずに、カズちゃんも交えて会わないか?3人なら変な緊張感もないだろうし」

「そうね。しかも正直和子さんと話していた方があまり緊張せずに済むんだよねえ。私も和子さんも男性心と女性心がハーフアンドハーフだから波長が合うみたい。そんな二人に北村くんをトッピングしたら楽しくなるんだよね」

「ハーフアンドハーフとか、トッピングとかピザの注文かよ。まあ、カズちゃんがいたほうが楽しいんだよな、実際」