「女装への助走~オンナノコの秘密☆~」 第10話(最終回) ラビリンス…それは、俺のかけがえのない桃源郷
俺、あんずは今日もラビリンスに通う。
初めての撮影会は緊張したが、プロのカメラマンのアドバイスで女性になりきりとても素敵に撮ってもらえた。
その時の写真は、今では宝物の一つとなっている。
メイクも自分でできる程上達した。
この一重瞼も中々のものだ。
化粧一つで化けられる技術も習得できた。
大胆にも外出もこなし、スタバでコーヒーを飲んでみたこともある。
周囲の視線がとても気持ちよかった……いや、決して違う意味ではない。
美しい俺にみんな驚き、ざわめき動揺していたのだ。
それを肌で感じ取れたことがたまらなく快感だった。
嬉しいことに女装仲間もたくさんでき、一番の親友と呼べる友人もできた。
最近ではその親友と旅行に行く予定を立てている。
もちろん女装しての旅行だから楽しみで仕方ない!
俺にも数少ない友人はいるが、ラビリンスで出会った友は全く違ったものであって
何でも話せる心強い理解者でもある。
そんな仲間に出会えたことは俺の人生に置いて最高の出来事だ。
ああ…俺はやっと解放されたのだ。
『安藤貴志』と『あんず』
同じ人間であるが違う人間。
『俺』と『私』どちらも大切にしていこうと思う。
そう心から思える日がくるとはとても感慨深い。
人生を変えてくれた『ラビリンス』に出会えたことに感謝。
ありがとう!そして、これからも『あんず』をよろしくと言わずにはいられない。
END