「100分の1の女装~第1話~」

入り口を開けると「いらっしゃいませ。」と明るく元気な声が聞こえた。それとは対照的にムーディーなブルーやピンクの照明に驚いた。「こういうお店って初めてだけどスゴイ雰囲気だなぁ~。」

スタッフの1人が「今日コーディネイトをやらせていただきます白雪いづみと申します。よろしくお願いいたします。」

僕の名前は早乙女京(さおとめけい)最近まで普通の男だった。女装サロン ラビリンスに来るまでは・・・。

「えっ!女装さんですか?全然わからなかった!」

「えっ本当?イェーイ。」と両手で私にピースをしてきた。「怖いお店かと思ったけど楽しいお店なのかな」

着替え部屋は花いっぱいのロリータ調で甘い香りがした、まるでお姫様になったような気分だ。

僕は現実と夢の間にいるような感覚だった。

その後、洗顔をして服のコーディネートなど希望を言いながら着替えをすることになった。

着替えの際スタッフは部屋にはいないのだが、下着をつけることに物凄くドキドキした。「果たして本当につけていいんだろうか?」「つけた瞬間に人生がおかしくなってしまうんじゃないだろうか?」私はそのまま固まってしまい永遠に続くのではないかというくらい長く感じた。

自分の心臓の鼓動が聞こえる。まるで、誰かに背中を叩かれているようだった。