「100分の1の女装~第5話~」
「じゃぁ。俺と付き合わない?」
突然だった。でも、僕の秘密を知っていてくれる人でとても安心感を感じていたし。全く異なるパズルのピース当てはまるようなそんな感覚があったので。ジッと片桐を見つめてまるで条件反射のように。
「うん。僕でよかったら。」
片桐も同じ事を思っていたかのように満足げに。
「それじゃあ来週東京タワー水族館にでも行かない?」
「うん。行こう。」
「来る時変身してきてね。私は男で来るから逆転デートしようよ。」
約束の当日ラビリンスでメイクしてもらって待ち合わせの場所まで行った。
「待った?」
「ううん。今来たところ。」
「じゃあ。行こう」
こんな夢のような女装ライフもあるんだなと思った。いづみさんの「100人いたら100通りの女装がある」その言葉を思い出しながら手をつないで歩いていた。
(完)