「天男天女(てんなんてんにょ)⑤」
「なんだろう。あの感覚。」そんなことを考えながら街を歩いているとそこに目を疑う光景が飛び込んできた。
梨恵が他の男と楽しそうに歩いている。僕は思わず跡をつけてしまった。
「私達もう付き合って1年もたつけどさぁ~×××××」
その後の会話は聞こえなかったがそれだけでショックだった。
僕は二股をかけられていたのだ。
ただ1週間2週間と経っていくと僕の気持ちは落ち着いて来た。
思い返すとその時の梨恵は本当に楽しそうだったから。
女装をした時の自分と梨恵が被った。「梨恵はもっと女性としての楽しさを満喫したかったんだろうなぁ」女装をして初めてわかったこの心理。
僕は次の日またラビリンスに行った。変身してまた、梨恵の気持ちが少し分かった気がする。これから女性の気持ちがわかる男性になろう。これ以上女性を悲しませるのはイヤだと思ったから。
完