1,慶次と兼続の事情シリーズ①『親友の秘密』
トントントンッ!
階段を軽快に駆け上る音が、聞こえてきた。
溜めてしまった本を、ゆっくりと読んでいる慶次(けいじ)は、ため息をつく。
(……はぁ。今日は何の用だってんだ)
のっそりと立ち上がると、1DKの玄関のロックを回した。
それとほぼ同時に、鉄製のドアが勢いよく開かれた。
「来たよ~♪」
現れたのは、膝上20cmのスカートから健康的な太ももが覗き、室内に吹き込む風に柑橘系の香りが混ざる。身長は170cmはあるだろう、キラキラの笑顔が眩しい二十歳前後の女の子だった。