4,慶次と兼続の事情シリーズ①『親友の秘密』
しかし、第二と第四日曜日だけは、兼続が慶次と会うことはなかった。
四年間も、何をこそこそとしているのだろうかと純粋に気になった慶次は、企業からの内定ももらってのんびり過ごしていた秋のある日、兼続を家から尾行してみた。長袖のシャツに、チノパン。少し膨らんだトートバッグを持っている以外、普段の男の兼続だ。
電車をいくつか乗り継いで、降りたのは西武新宿線の田町駅だった。
改札を出るとスマホを取り出し、どこかに電話をする兼続。普段よりも、少し声が上擦っているようだ。そして最後に『このまま伺います』と弾む声で言うと、電話を切って歩き出した。
気付かれないように尾行をすると、ある建物に入っていった。友達の家だろうか?彼女だろうか?少しドキドキしながら、兼続が出てくるのを近くで待つことにした。