とある夏休みの終わりの金曜日。僕、藤巻薫、小学校五年生の家が夕方から騒がしくなった。姉貴の真美と母親が部屋の外の廊下でばたばたと走り回ってる。
「ゆりも、みっちも明日予定有るって」
アイフォンで何人かといろいろ話していた一つ年上の姉貴が半泣きの声で階下の母親に階段で叫んでいる。暫く経ってから、玄関に誰か来た様子。さっきから何だろうと思って聞き耳立てていた僕は、それが姉貴のバレーボール仲間の浅井泉ちゃんという女の子のお母さんだとわかった。
何か姉貴と母親と泉ママで何やら話しているもそもそ声が階下で聞こえる。僕は遊戯王のカードを整理しつつ、まあ関係ないやって感じで過ごしていた。普段姉貴に苛められたりしていたから、いい気味だとも
思っていた。
突然母親と姉貴が何やら喋りながら僕の部屋の前に来る。ノックもせずに僕の部屋をがらっと開け。滑り込む様に床に二人揃って正座。