(誰か追いかけてくるかも)

そう思った僕は夢中で体育館から出て表へ逃れた。気づけば僕一人、姉貴の姿は見えない。

それは僕にとって意外だった。女の子って同性同士だとあんなに凶暴になって男みたいな言葉使うなん

て、本当びっくりした。次更衣室で又出合うったらどうしようか。服とか脱がされて苛められたらと、僕は

女子更衣室に行くのが怖くなって、体育館の建物の隅でしばし少し震えていた。

と、その時僕の後ろから声がした。

「あの、British Peachesの、二番の子だよね?」

振り返ると、そこには中学生位の男の子が微笑んでいた。

「あ、俺、ブルーラビッツの選手の兄なんだど」

そう聞いた僕はくるっと体を返して逃げようとするけど、僕の手はしっかり彼に捕まえられた。

「違う違う、俺さ、君の、その、君のプレイに、その、感動しちゃってさ…」

そう言われて彼の顔をはっきり見る僕。浅黒く日焼したすごくかっこいい人。多分ブルーラビッツにいる

妹と一緒にバレーボールやってるのかも。

「俺も妹いるからわかるんだけど、あの日の前後だったんだろ?そんな体であいつらの苛めみたいなプレー

されて、それでも頑張ってさ、辛かったよな」