高校3年生の夏。大山拓也は、父親の再婚でできた妹、沙織との共同生活にまだ慣れていなかった。沙織は拓也より2つ年下で、中学3年生の活発な少女だ。無邪気で自由奔放な性格が、拓也には少々手に余る存在だった。

「お兄ちゃん、これ片付けてよ!」

ある日、リビングでくつろぐ拓也に沙織が声をかけた。片手には学校の制服を抱えている。

「いや、自分でやれよ。なんで俺が…。」

「だって、お兄ちゃんは暇そうじゃん!」

拓也はため息をつきながらも、沙織の頼みを聞いてしまう。いつものことだ。

沙織には不思議な力があった。彼女の頼みや指示に、拓也はなぜか逆らえない。強引なところもあるが、どこか憎めない妹だった。