西川涼(にしかわ りょう)は、平凡な日常に埋もれた普通のサラリーマンだった。
「まあ、俺の人生、こんなもんか。」
心の中でそう呟きながら、
しかし、その平凡さが、
ある金曜日の夜、
「なんだ、こんなところに神社なんてあったか?」
引き寄せられるように、涼は石段を登った。神社の本殿は小さく、
そこには一対の鏡が置かれていた。
一つは割れ、もう一つは真新しいように輝いている。
「…これ、触っても大丈夫かな。」
涼は何かに導かれるように鏡に手を伸ばした。その瞬間——
身体が熱を持ち、視界が一瞬にして白く染まった。