翌週、凛から「また一緒にショッピングしよう」と誘われたが、優は曖昧な返事をしてしまった。あの日見た光景が心に引っかかり、どうしても素直になれなかったのだ。
しかし、凛はその理由を察していたのか、優を待ち伏せするように自宅近くまで訪ねてきた。
「小野寺さん、最近なんだか避けてませんか?」
「そ、そんなことないですよ!」
慌てる優だったが、凛は真剣な眼差しを向けた。
「あの日のこと、気にしてる?」
「えっ……?」
「実はあの人、私の兄なんです。一緒にカフェの新しいメニューについて相談してただけで、変な誤解はしないで。」
「お兄さん……?」
優は驚きと安堵が入り混じった感情に包まれた。それと同時に、自分がどれだけ凛のことを気にしていたのかを改めて実感した。
「ごめんなさい、変に気にしてしまって。」
「いいの。でも、これを機に小野寺さんにはちゃんと伝えたいことがある。」
凛は一歩近づき、優の目をじっと見つめた。
「私、小野寺さんのことが好きです。」
その言葉は、優の心に真っ直ぐに届いた。