旅行当日、優と凛は朝早く待ち合わせをして電車に乗った。行き先は山間の静かな温泉街。普段の都会の喧騒を忘れられる、落ち着いた雰囲気の場所だった。

「温泉なんて久しぶりだなぁ。」

電車の窓から景色を眺めながら、優がつぶやいた。

「私も。小野寺さんと一緒に行けるなんて楽しみ。」

凛は隣に座り、自然な笑顔を浮かべた。その言葉に、優の胸は少しドキリとした。恋人になってから時間が経ったとはいえ、凛の気配りや温かさに改めて魅力を感じてしまう。

旅館に到着すると、2人は早速温泉街を散策することにした。細い石畳の道を歩きながら、食べ歩きをしたり、お土産屋を見たりと、楽しい時間が流れていく。

「これ、似合うと思うんだけど。」

凛が手に取ったのは、可愛らしいヘアアクセサリーだった。優の髪にそっと合わせると、満足げに頷いた。

「え、これ僕に?」

「もちろん。今度、女装した時につけたら可愛いと思うよ。」

「……ありがとう。」

少し照れくさそうに受け取った優に、凛はくすっと笑った。