女装サロンは初心者向けのイベントが成功し、地域での知名度が着実に上がっていった。悠斗はその成果に手応えを感じていたが、継母・美絵は相変わらず冷静だった。

「悠斗、ちょっと話があるわ。」

その日、美絵は女装サロンの運営計画について新たな提案を持ちかけてきた。

「今の女装サロンの方向性では、短期的には成功するかもしれない。でも、長期的には弱いわ。」

「弱いってどういうことですか?」悠斗は眉をひそめた。

「女装サロンは、ただの趣味や癒やしの場で終わらせるべきじゃない。もっと、社会的な意味を持つ場所にするべきよ。」

「社会的な意味…?」

「そう。女装サロンを一時的な逃げ場ではなく、個々が自立して生きられる力を育てる場にするの。もっとプロフェッショナルなスキルを学べる場所にするのよ。」

その提案に悠斗は戸惑いを隠せなかった。女装サロンは癒やしの場であり、自分らしさを見つける場所だと信じていたからだ。しかし、美絵の言葉には説得力があった。

「わかりました。具体的にどうすればいいか考えてみます。」