女装サロンラビリンスの中には、通常の客が立ち入ることのできない特別なエリアがあるという。それが「ラビリンスの迷宮」だった。

麗さんに案内され、秘密の扉を抜けると、そこには幻想的な空間が広がっていた。紫色の照明が揺らめき、壁には無数のドレスや装飾品が並んでいる。

「ここでは、あなた自身が“誰”であるかを試されます。」

麗さんの言葉に戸惑いながらも、俺は迷宮の奥へと進んでいった。

まず最初に現れたのは、巨大なドレスルームだった。

「翔太さん、ここで自分に最もふさわしい一着を選んでください。」

ドレスはどれも美しく、選ぶのが難しい。しかし、ひときわ目を引いたのは、真紅のドレスだった。それを手に取り、試着室に入ると、鏡の中の自分がまるで違う人間に見えた。

「これが俺の選んだ姿…。」

その瞬間、胸の奥に何かが灯るのを感じた。