最初に渡されたのはワインレッドのドレス。私は恥ずかしさと興味の狭間で揺れながら、そのドレスに袖を通した。次々と与えられるアクセサリー、ウィッグ、化粧の施しにより、鏡の中の私は徐々に別人へと変貌していった。
「素敵ですわ、瀬川様。これで貴方も立派な迷宮の住人です。」
スタッフの言葉が耳元で囁かれる。彼らの指先が私の顔を優しくなぞるたびに、私は自分の中の何かが変わっていくのを感じた。
その瞬間、扉が開き、沙羅が現れた。彼女は黒い革の衣装に身を包み、手には鞭を持っている。
「さあ、光樹。女装サロンラビリンスで本当の自分を見つけなさい。」
彼女の声は命令でありながら、どこか優しさを含んでいた。