静かな控え室で、涼は奏と葵の両方を見つめた。
「奏、葵…。僕は本当に、二人と一緒に過ごせたことが幸せだよ。君たちのおかげで、自分がどんな人間でありたいのかを見つけることができた。」
涼は少し間を置いて続けた。
「でも、今の僕にとって、一人を選ぶというのはやっぱり難しい。二人とも僕にとって特別な存在で、どちらも失いたくない。」
奏と葵はその言葉を聞いて複雑な表情を浮かべたが、涼の真剣な思いを理解しようとしているようだった。
「だから、もし二人が許してくれるなら、これからも三人でこうしていられる関係を続けたいんだ。」
涼の言葉は誠実で、どこか悲しげでもあった。それを聞いた奏は少し考えた後、「涼がそう言うなら、私はそれでもいいわ」と答えた。
葵もまた、「僕もそれで構わない。涼と一緒にいられるだけで十分だから」と微笑んだ。