提携プロジェクトが成功し、女装サロンラビリンスの名はさらに広まった。しかし、その反響が大きくなるにつれて、涼たちはある違和感を感じ始めていた。新規の来店者が増える一方で、これまでの常連客たちの足が遠のいているように感じられたのだ。

「最近、昔から来てくれていたお客様があまり見かけなくなった気がするの。」奏が眉をひそめながら話す。

葵も頷く。「わかる…前みたいにアットホームな雰囲気が薄れてきたのかもしれない。」

涼は静かに考え込んだ。「私たちが成長することは大事だけど、初心を忘れてしまったら、このサロンの意味がなくなってしまう気がする。」

サロンラビリンスは「女装を通じて自分を見つける」という理念で成り立っている。商業的な成功を追い求めるあまり、その原点が失われているのではないか――涼たちはそんな不安に直面していた。